なぜ「本染め」ではなく、
「昇華転写捺染」なのか?

「本染め」の3つの問題点

のれんや日除け幕をはじめ、旗や幕などの布製品の製作方法は、長らく「本染め」が一般的でした。
どんな方法なのか簡単にご説明しますと、まず染め職人がのれんの生地に1色ずつシルクスクリーン版で印刷していく感じで染めていきます(捺染)。染め上がると半日程度乾かしてから蒸して化学反応させ、染料を固着させます。その後、糊(のり)や余分な染料を洗い落とすために水洗いをし、最後に最終乾燥させ、必要に応じてミシンで縫製をして完成、ざっくり言うとこのようなプロセスになります。

■本染めの作業工程

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ただ、この製作方法だと、お客様にとって不都合な三つの問題がどうしても避けられません。

  • 問題点

    01

    納期がかかる

    一つ目。どうしても納期がかかってしまいます。
    上の図でお分かりの通り、「本染め」はかなりの工数がかかるだけでなく、乾燥や蒸す工程、水洗いや再乾燥と、一つ一つの作業自体も時間を要するので、これだけでも余分に3日はかかってしまうのです。

  • 問題点

    02

    写真入りが出来ない、
    色数が増えるごとに値段が高くなる

    二つ目。写真入りやフルカラー、グラデーションが出来なかったり、2色以上になると値段が高くなります。
    それは色の数だけ版を作らないといけないからです。

  • 問題点

    03

    値段が色数だけでなく、
    柄によっても変わってくる

    三つ目。これが一番の問題点です。二つ目のところで「本染め」は版を作らないといけないと言いました。つまり、お見積り金額の構成要素として正確には、のれん本体以外に版代(型代)がかかるわけです。問題は、この版代(型代)が、柄によって変わってくることです。もちろん複雑な柄の方が、簡単な柄よりも版代(型代)が高くなります。
    ということは、お客様が正確な値段を知ろうと思えば、のれんのデザインを業者に送らなければならないことになり、すごく面倒なのです。柄が変わるたびに見積もりをとらなければならないからです。
    その上、複雑なデザインだと製作できない場合もありますので、結局「本染め」では1色の簡単な柄のものに落ち着いてしまいがちです。

「本染め」ではなく「昇華転写捺染」を
お勧めする理由

一方、当社では「昇華転写捺染」という製作方法でのれんを作ります。それは、上記3つの「本染め」の弱点をすべてカバーし、しかも「本染め」よりも色持ちがよい、画期的な染め方法だからです。

「昇華転写捺染」は言ってみればデジタル染色です。どういった作り方なのか簡単にご説明しますと、まずインクジェットプリンターで転写紙に柄を染料で印刷した後、その転写紙と暖簾の生地布を合せて200度以上の大型の熱転写機にかけます。そうする事によって気化した染料が、繊維の分子構造に入り込み生地を染色する特殊な製作技術です。

■昇華転写捺染の作業工程

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※昇華とは、固体が液体になることなしに気体になる意で、昇華転写捺染とは熱によって染料が気化して生地を染める手法です。

昇華転写捺染の動画を見る

もちろん印刷ではありません。歴とした正真正銘の染めですので、本染めと同様に布自体の風合いを残しながら、やわらかな仕上がりになります。優れた耐候性、耐水性も特徴の一つです。

何よりも最大の特徴は、「本染め」の弱点を全てカバーしている点です。

転写紙にインクジェットプリンターで印刷するわけですから、これは何を意味しているかと言うと、デザインの制約がなく、写真入りも含めあらゆるデザインでのれんの製作が可能であると同時に、色数に関係なくお値段が同じであるということです。
これは、写真入りはもちろん複雑な柄だと製作できなかったり、色数が増えるごとに値段が高くなったりする「本染め」と違って画期的なことです。これが1つ目の優位性です。

2つ目は、色数や柄は関係ないということは、価格決定要因は縦横のサイズだけになりますので、「本染め」のようにのれんの柄をいちいち詳しく伝える必要がないということ。お客様はサイズ入力のみで見積金額が分かることになります。

最後は、納期です。
「昇華転写捺染」は、冒頭で説明した「本染め」の製造過程のように乾燥や蒸す工程もなければ、水洗いも必要ありません。ですから「本染め」では一般に2週間かかるところが、昇華転写捺染では遅くとも1週間でのれんが出来上がります。3日で出来上がることも可能です(特急対応が出来るのはこのためです)。これは間違いなく「本染め」ではできない芸当です。

当社がなぜ、のれんの製作方法として「本染め」ではなく「昇華転写捺染」をお勧めするのか、これで理由がお分かり頂けましたでしょうか?

「本染め」と「昇華転写捺染」の見た目の違い

では歴史の長い「本染め」に比べ「昇華転写捺染」の劣るところは全くないのでしょうか?
例えば質感とか、発色、色ののり具合とか。

これに関しては正直、感性の問題なので、「本染め」ののれんの方が良いという方もいらっしゃれば、
「昇華転写捺染」の方が良いという方もいらっしゃいます。つまり「好みの問題」なのです。

ただ、べたっと色が載っているのはどちらかと言えば「本染め」ののれんの方ですね。
でも「昇華転写捺染」の方が、べたっと色が載っていない分、柄の際も小さい文字もくっきり出ます。
「本染め」は色がべたっと出る分、どうしても小さな文字が滲みがち潰れがちになります。

ですから、「昇華転写捺染」の方が劣る点はない、というのが当社の認識で、あっても品質に影響のない範囲だと思います。

それよりも、従来の「本染め」では出来なかったフルカラーものや、2色以上では高くなっていた多色ののれんが、デザインの制約を受けることなく手軽に同一金額で、しかもお安く、製作出来るようになったこと、「どんな柄ですか?」「細かい柄ではないですか?」「色は何色ですか?」と、いちいち柄の詳細を聞かなくとも、のれんの縦横の寸法さえ分かればお値段がすぐに出せること(お客様にとっては縦横の寸法を入力するだけで値段がすぐに分かるということ)、そして遅くとも1週間、早くて3日で仕上がること。

これらの方がお客様にとって利便性が高くメリットがありますので、今後暖簾の作り方としては、ますます主流になっていくことは間違いありません。
当社が、従来の「本染め」ではなく、「昇華転写捺染」をお勧めしている理由がここにあります。

昇華転写捺染 本染め
製作期間 早くて3日 早くても10日以上はかかる
デザイン
の制約
なし。
グラデーションでも写真入りでも問題なく製作可
グラデーションや写真入りが出来ないのはもちろん、複雑な柄も製作できないことがある
価格 明瞭
色数不問・デザイン不問
大きさによってのみ価格が決まる
不明瞭
色数が増えるごとに値段が上がる。それだけでなく、柄の複雑さによっても値段が変わる
発色 どちらが発色が良いかは好みの問題。
色落ち 耐候性、耐水性は同等か
昇華転写捺染のほうが優れている
(下のテスト結果参照)

よくいただくQ&A

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