のれんの製作方法「昇華転写捺染」で退色しやすい色

のれんの製作方法「昇華転写捺染」で退色しやすい色 のれんのデザイン

こんにちは!オーダーのれんドットコムの福本です。

今回は、のれんをご検討中の方や、すでにお使いの方に知っていただきたい、少し専門的な「色あせ(退色)」のお話をしたいと思います。

私たちの身の回りにある布製品は、さまざまな方法で染色されていますが、どうしても避けて通れないのが「経年劣化による退色」です。ちなみに、オーダーのれんドットコムののれんは、「昇華転写捺染(しょうかてんしゃなっせん)」というデジタル染色技術を用いて製作しています。

実際の製作風景は、ぜひこちらの動画をご覧ください。

経年劣化による退色の原因と「耐光性」

のれんが色あせる最大の原因は、主に太陽光(紫外線)が当たることです。そのため、光に対する強さを示す「耐光性」が高いインクや素材を使うほど、退色を遅らせることができます。

ここで、皆さんに少し意外なクイズです!

「太陽光で一番退色が目立ってしまう色」は何だと思いますか?

少しだけ考えてみてください……。

・ ・ ・

正解は、なんと「緑色(グリーン)」です。

「えっ、赤や黄色のほうが色あせしやすそうじゃない?」と思われるかもしれません。なぜ緑色が一番目立ってしまうのか、その理由をインクの特性データから分かりやすく解説します。

なぜ「緑色」の退色は目立つのか?インクの耐光性データ

まずは、インクメーカーが公開している「インク別堅牢度試験結果」をご覧ください。

インク別堅牢度試験結果

※参照元:ミマキエンジニアリング 堅牢度試験結果(SPC-0493:JV5,JV33用データより一部抜粋)

インクの色系統耐光性(級数)特徴
Y(黄系)7光に最も強い
K(黒色)5 – 6比較的強い
M(赤系)5 – 6比較的強い
BL(青系)4光に最も弱い

「耐光性」は、数字(級数)が大きいほど「光による色あせが少ない(=光に強い)」ことを表します。

このデータを見ると、黄色(Y)が「7」で一番強く、青色(BL)が「4」で一番弱いことがわかります。実は、この「インクごとの強さのバランス」こそが、緑色が激しく褪せて見える理由なのです。

緑色の退色メカニズム:最強と最弱の掛け合わせ

デジタル染色において、緑色は 「青インク」と「黄インク」 を掛け合わせて表現します。 もし両方のインクが同じペースで退色していくなら、元の緑色のトーンを保ったまま全体的に薄くなるだけです。

緑のトーンが薄くなっていく図

しかし実際は、耐光性が一番低い「青」が先に色あせ、耐光性が一番高い「黄」がその場に残ることになります。

耐光性が一番高い「黄」が残っている図

その結果、元のみずみずしい緑色から、だんだんと「黄味がかった、くすんだ色」へと変化してしまいます。最初の色からのギャップが大きいため、人間の目に「激しく色あせた」ように映るのです。

青色インクの耐光性が低い理由

今回参考にしたデータは弊社が使用しているインクそのものではありませんが、昇華転写用インク全体として「青は耐光性が低め」という傾向があります。

インクメーカーによると、青色インクは他のインクに比べて成分の粒子が大きく、生地に定着しにくいためにどうしても耐光性が悪くなる傾向にあるとのことでした。私たちはこうした現場の声をインクメーカーへしっかりフィードバックし、さらなる製品の改善に努めてまいります。

1年間の屋外設置テストでも証明された「色の変化」

メーカーのデータが本物かどうか、弊社事務所の東側の壁を使い、実際に1年間の「耐候性テスト」を行いました。

  • 使用生地: バンテン
  • 設置期間: 2020年9月〜2021年9月までの1年間(24時間常時設置)
実験前の生地色

1年後はこちら

1年後の実験結果

結果は一目瞭然でした。 緑系の特に濃い色(36番:深緑、37番:ダークグリーンなど)は、青味が抜けて明らかに黄色っぽく変化し、退色が目立っていました。

一方で、3番の黄色や7番の赤色など、もともと「青色インクを使っていない色」は退色が非常に少ないことも確認できました。まさに、メーカーの堅牢度試験結果が正しいことが実際の環境でも実証された形です。

※のれんの設置環境(直射日光の当たる時間や西日の有無など)により、退色の度合いは大きく異なりますので予めご了承ください。

お気に入りのれんを少しでも長く使うための「2つのメンテナンス」

「緑色が色あせしやすいなら、緑のれんは作らない方がいいのかな……」と不安に思う必要はありません!あまり気にしすぎると、本当に作りたいデザインののれんが作れなくなってしまいます。

あくまで知識として知っていただいた上で、以下の簡単なメンテナンスを意識するだけで、のれんの寿命はぐっと延びます。

  1. 営業時間外は店内に片付ける 夜間や定休日など、営業していない時間は直射日光の当たらない店内に片付けるだけで、紫外線にさらされる時間を大幅にカットできます。
  2. 濡れたら洗濯して陰干し 雨に濡れたまま放置すると生地の傷みや色あせの原因になります。優しくお洗濯をしたあと、必ず「陰干し」をしてしっかり乾燥させてください。

詳しいお洗濯方法や日々のお手入れについては、下記のページでも解説しています。

のれんのメンテナンス方法を教えてください。
https://www.order-noren.com/faq/detail/980

まとめ:納得のいくオリジナルのれんを作りましょう!

今回は少し専門的なインクのお話でした。色の特性を知っておくことで、デザイン選びや日々の扱い方の参考になれば幸いです。

「この色はどうかな?」「お店の環境だとどのくらい持つ?」など、気になることやご質問がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください!

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